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広くないカウンター席中心の焼鳥屋に着くと、一席辛うじて空きがあってホッとひと息ついたところで、奥に風変わりな4人が居ることに気がついた。 小さな丸眼鏡をかけた老人が、キャンキャンとスピッツのように隣の背の高い男に向かって文句を言っている。言われている黒い背広姿の男は、全く無反応で昼から酒を舐めているようで老人を振り返ることもしない。 その男の隣には背の高いスラリとした女性が、これまた無言でひたすら焼鳥を美味そうに喰っていた。黒い艶のある長い直毛が、背まで広がり美しい髪だが、それがかえって不気味な感じがした。 そして、そんな女性を睨みつけながら老人を甲斐甲斐しく世話をしている、美人で小柄な女性が老人の反対側に座っている。 『何なんだ?この4人!』 興味をそそられて観察し始めた途端、長身の男が俺に射抜くような視線を浴びせてきた。 その男の顔があまりに整って美しかった為か、その殺伐とした瞳のせいか、呪われたかのように俺の背筋に悪寒がさあっと走った。 慌てて、注文したものを口にしてそそくさと店を後にした。 『何者だ?! 堅気じゃないなあれは…。ああいう男が、きっとアサシンだったりするんだろう。何人も殺して、しっぽを出すことなどない影の大物。きっとそうだ!俺の勘がそう言っている。』 いつかきっと、奴を逮捕する! その後そんな夢を抱きながらその恐ろしくも美しい顔を忘れぬようにと、俺は過ごすようになった。
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