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腰を抜かしそうになった俺は、彼が警視庁でも有名な最年少警視正だと知った。 そんな人を殺し屋だと勘違いして、逮捕する夢をずっと見ていたなんて…。卒業記念で例のイタリアンの店に集まった国定と望月には呆れかえるより、大笑いされた。 「相変わらず面白いよね、秋山って。ゴシップとか全く興味ないっていうか、そんだけ物腰が柔らかいのに実際にはあまり人を寄せ付けないようにしてる。出世には、世渡りも必要だよ。国定みたいにさ。」 「望月!お前なぁ、俺の何を知ってるって言うんだ?これだから、女は恐ろしいよ。」 「あらあら、心にやましいことがあるから文句言うのよ。火のないところに煙は立たないの!」 「おいおい、勘弁してくれよ。」 二人は、楽しげにシャンパンを飲みながらお互いをからかっている。 それに比べて俺は、望月だけでなく、あろう事か国定も黒岩警視正について知っているなんてと激しく動揺して頭を抱えていた。 死神との異名を持つ黒岩警視正のあの目は、確実に俺の顔を覚えている。これは確信に近い。一瞬、氷のような眼差しが俺に向けられたのを卒業の日も感じたからだ。 「終わった…。」 ため息しか出ない俺。 「まぁ、キャリア組なんて私達にとっては天上人じゃない。気にしない気にしない。」 「そうだぞ、秋山!まぁ、飲め。俺からトップを奪ったんだ、お前が落ち込んでんじゃねぇよ。」 仲間達の慰めに、まぁそうかなと救われた気持ちにもなっていたが、心はさっぱり晴れなかった。
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