忘れえぬ想い

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翌日、同期の美波とランチしながら、光月くんから誘われた飲み会の話しをした。 「行けばいいじゃん、何が問題?」 「だって、ほとんど喋った事ない人達だよ?」 「同じ高校だったんなら、会話だって合うでしょ。そんな事ばっか言ってるからカレシも出来ないんだよ」 同期の美波は、とっくに結婚し1児の母だ。 愚痴が吐けないからと、当時付き合ってた社内の彼と別れ、婚活パーティーで知り合った男性と5年前に結婚した。 「仕事が恋人とか言い出さないでよ?」 「仕事は裏切らん」 「業績悪くなって、やむなくリストラーって事だってあんだからね?」 「それを言わないでぇ。まっ、うちの会社は平気だと思うけど」 「そう願うけどね」 美波には割と何でも相談している、けれど高校時代の拗らせ恋心と佐伯の事だけは、話せない。 それは、自分が人に話せない事をしているっていう自覚があるから。 こんな事、早く終わらせないといけない、って思うクセに終わらせない自分は本当に情けない人間だ。
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