忘れえぬ想い

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店に入ると、西村さんが光月くんに手を上げている。 「あれ?本田はまだ?」 「うん、少し遅くなるって連絡入ったよ」 「綾音?早く座りなよ」 「え、…あ、うん」 「えー、2人って、そういう関係?いつの間に?」 今さっきまで私を”冨樫”と呼んでいた光月くんが、いきなり”綾音”なんて呼ぶから、西村さんと一緒に私まで驚いてしまった。 「そういうって、どんなだよっ、会社近いし。なっ?」 「あ、うん。近所でビックリした」 西村さんの質問に曖昧な感じで返した光月くんだけど、何で急に名前呼び?という私の疑問は宙に浮いている。 「冨樫さん、あんま変わってないね」 「え?西村さんこそ。すぐ分かったよ」 西村さんが普通に話掛けてきてくれたから、私も安心して返事を返せた。
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