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〈Kei〉
冨樫を見掛けたのは、声を掛けた日が初めてじゃない。
実は会社近くの定食屋で数回見かけていた。
高校時代は特に何とも思ってなかったが、定食屋で食事をする際に、髪を耳にかける仕草が妙に色っぽく見惚れてしまう。
お互いこんな歳だし、既婚者になってるかもしれない。
声を掛けるにしても、どうしたって慎重になる。
コンビニで買い物してる冨樫の指を確認、左薬指は…空いたままだ。
確認が終了が終了した俺は、冨樫に声を掛けた。
そこでも念のため、独身である事と彼氏がいるかどうかも、聞いてから連絡先の交換を済ませ、その日の夜に早速メッセージアプリでメッセージを飛ばす。
返ってきた返事は望んでたものとは、少し違ったけど【前向きに検討願うっ!】と返答をしておいた。
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