忘れえぬ想い

3/26
前へ
/116ページ
次へ
桜庭さんを褒めた私を見て。 「お前って、嫉妬とか無いわけ?」 そんな佐伯から視線を逸らし「シャワーしてくる」その場を立ち去った。 嫉妬なんてあるワケない。 だって私は佐伯に対して1ミリも、好きなんて感情を持ってないのだから。 私が佐伯を選んだのは”タクマ”という名前。 呼びたくても呼べなかった、その名前。 高校時代から、ずっと私の心の中にいる恋しい人。 神代 匠真(かみしろ たくま)と同じ名前だから、この関係を続けてるだけ。 佐伯に抱かれながら、目を閉じて「タクマ」と呼べば、神代くんに抱かれてる錯覚に陥れる。 だから、いつの桜庭さんには申し訳ない気持ちで一杯だ。 彼女には何の落ち度もないのだから。
/116ページ

最初のコメントを投稿しよう!

65人が本棚に入れています
本棚に追加