結婚

6/21
前へ
/116ページ
次へ
本田くんが隙をみて。 「神代っ」 声を掛けた…、けど。 「誰?」 「えーっと、俺達、同じ高校だったんだけど、覚えてない?」 「ちょっと分かんねぇかも。悪い」 私達4人の顔を、一通り見て神代くんは、そう言った。 もちろん、私の顔で視線が止まる事なんて無く。 「雪村っ、分かるか?」 「分かるけど、友達では無いわよ」 「お前、もうちょっと言い方ってモンがあんだろ」 「神代にだけは、言われたくない」 「まぁ、俺は帰るけど、ゆっくりしてってくれ」 雪村さんから視線を再び私達に向けた神代くんは、そう言って奥さんの元に戻ってしまった。 「変わったな…雰囲気とか柔らかくなった感じぃ?」 「昔より、話しやすかったよね」 それは、そうだけど…、覚えてくれてなかった。
/116ページ

最初のコメントを投稿しよう!

65人が本棚に入れています
本棚に追加