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本田くんが隙をみて。
「神代っ」
声を掛けた…、けど。
「誰?」
「えーっと、俺達、同じ高校だったんだけど、覚えてない?」
「ちょっと分かんねぇかも。悪い」
私達4人の顔を、一通り見て神代くんは、そう言った。
もちろん、私の顔で視線が止まる事なんて無く。
「雪村っ、分かるか?」
「分かるけど、友達では無いわよ」
「お前、もうちょっと言い方ってモンがあんだろ」
「神代にだけは、言われたくない」
「まぁ、俺は帰るけど、ゆっくりしてってくれ」
雪村さんから視線を再び私達に向けた神代くんは、そう言って奥さんの元に戻ってしまった。
「変わったな…雰囲気とか柔らかくなった感じぃ?」
「昔より、話しやすかったよね」
それは、そうだけど…、覚えてくれてなかった。
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