結婚

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* 神代くんと再会してから、佐伯と2人で会っていない。 元々、好きなワケじゃないし、それに…こんな自分を神代くんに、知られたくないという気持ちが強かった。 それなのに、佐伯は事ある毎に経理部に顔を出しに来る。 「富樫、これなんだけどさ。申請ってどうやればいいの?」 「また?これ、初めてじゃないよね?」 何度も申請した事のある書類を持って、やってくる。 「せんぱぁい、佐伯さんって実は…先輩の事、好きなんじゃないですかぁ?」 「そんな事あるわけないでしょ?単に同期だから聞きやすいだけ」 「でも、あの2人。最近うまくいってないみたいですよ?」 「あの2人って、佐伯と桜庭さん?」 「他にいます?」 「今、誰の話題だと思ってます?」なんて、緒方に真顔で突っ込まれ、書類に目を通す。 ”今日、19時に” 佐伯が申請に件で経理部に来たのは、これが理由。 私は書類に張られた付箋を剥がし、ごみ箱へ捨てた。 迂闊だった、今までは自分のスマホケースの中に貼り、家で捨てていたのに…神代くんとの事で頭が一杯で、他の事に構う余裕がなかった。
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