64人が本棚に入れています
本棚に追加
どうせ社交辞令的なものだと思い、「いいよ」と私もスマホを取り出し、IDの交換を済ませお互い自分の会社へと別れた。
光月くんに会ったせいもあり、私の頭の中に高校時代の記憶が鮮明に蘇ってくる。
私が今でも忘れられない人。
この20年、ずっと想い続けていたワケではない、それなりに恋愛だってしてきたし、付き合った人だっていた。
ただ心の中には神代くんの存在が居座っていて、誰かと付き合っても結婚に至るまでの愛情は持てなかった。
高校の時に告白してフラれていれば、ここまで引き摺ったりはしなかったかもしれない。
勇気が無くて…いや、絶対にフラれる事が分かっていたから、言わなかったんだ。
特定の彼女を作らなかった彼、いつでも女子が周りにいた彼。
そんな彼だから、大人になっても彼女なんて作ってないんじゃないか、そういう僅かな希望があったから、私は…。
うん。言われなくても分かってる。
バカでイタイ女。拗らせの範囲を軽く超えている、だから友人にも誰にも話せない、私の想い。
この日の夜、スマホが光月くんからのメッセージを受信した。
最初のコメントを投稿しよう!