満開になったら

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 私が高校生の頃、私のクラスにはエリーというハーフの女子生徒がいた。  金髪碧眼でお人形の様だったエリーは、クラスの女子達に容姿を妬まれ、大層酷いいじめを受けていた。  いじめに耐えきれず、遂に転校してしまうことになったエリー。  そのお別れ会の日、彼女は晴れやかな笑顔で、担任に大きな植木鉢を差し出した。  ロベリアという植物で、これから花を咲かせるらしい。 「私だと思って、大切にしてくださいね」  弾む様な声でそう語り、学校を去っていったエリー。  数ヶ月後、ロベリアに蕾がつき、1部の花が開花する。  と、私達が化学室で実験していた際ボヤが起きた。  更にロベリアの花が増えていた日には、教室にあった本棚が倒れ、一番後ろの席の生徒数名が怪我をした。  以降、蕾が開くごとに怪我人が増えていく私達のクラス。 「もし、ロベリアが満開になったら、皆、死んでしまうんじゃ……?」  エリーをいじめていた主犯の少女が泣きそうな声でそう言った。  数日後――遂にロベリアの花が満開になった日、私達が体育館で体育をしていると、体育館に雷が落ち、大きな火事になった。  幸い死人は出なかったが、パニックを起こして逃げ遅れたいじめの主犯の背中には、一生消えない火傷の痕が残ってしまった。  その後、ロベリアは枯れ、二度と咲く事はなかった。  ちなみに、後から園芸好きの友人に聞いたが、ロベリアには「悪意」という花言葉があるらしい。
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