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『実花を笑顔にするヤツにしろよ。変なヤツだったら、おれが化けて出てやる……って今、おれ、幽霊じゃん』
「あはは……もうずっと幽霊でいいから一緒にいて」
『んなこと言わないでくれ。逝けなくなるよ』
「……ずっとこうやって話してたい」
『あのさ。結局つきあって一年しか経ってないけど……おれは実花が入社してきて配属の挨拶をした時から、じつは一目惚れだった』
「そうなの? ……初めて聞いた」
『でも一応指導係って立場になったから、なんか軽々しく手が出せなくなっちゃってさ』
「私、本当のこと言うと……最初、篤史のこと苦手だった」
『やっぱりな。今思うと……きつく教えたこともあったかなって』
「うん。でも私が大失敗した時、一緒に部長に謝ってくれたじゃない?」
『そりゃ、当たり前でしょ。先輩としては』
「悩んでることとかないか、相談に乗ってくれたじゃない? 部の飲み会の時。長い愚痴みたいな泣き言も何も言わないで、黙って聞いてくれた」
『あ~、あれはね。他の男が寄ってくるといけないから、バリアーのつもりだった』
「ふふっ、そうなんだ? でも嬉しかった」
『営業部で実花のこと狙ってるヤツ結構いたんだよ。彼氏いるのかとか、おれに聞いてくるしさ。……だから、おれもちょっと焦って。指導係外れたのと同時にすぐ、告っただろ?』
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