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「……色々俺のこと噂されてるけど、合ってるのは、病気ってとこだけ。
腎臓に疾患があって、しょっちゅう透析行かないといけないんだ。小学校高学年くらいに発症したんだけど、それまでは弟より俺の方が勉強も運動も出来た。でも気づけば……勉強も遅れて、運動も思うように出来なくなってた。
わかってるよ、子供っぽい八つ当たりなのは。弟の方がわかってて、俺に何でもくれるんだ。そうでなくても、親は俺の方ばかり見てるのに。不満もあるはずなのに……」
なんと言っていいのか、わからなかった。下手に慰めや同情の言葉とかかけられないと思ったし、出てこなかった。
「なんか……将来の夢とか持ってもしょうがないし、年々疲れるの早いし、友だちなんて数週間学校行かなきゃ最初からやり直しだし。
それで弟を見ると……何もかも持ってるんだ。無限の可能性も、体力も、対等に付き合える友だちも……」
菱野くんの頭がどんどん俯いていき、しまいには欄干に顔を突っ伏していた。
「あの……まずは私が友だちになるの、どうかな?」
私の言葉に菱野くんはそろそろと頭を上げた。
「あんな失礼なことしたのに……いいの?」
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