おばあちゃんとのびる

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私は薗田明美。 高校を卒業後隣県の大学に進学。幸い学生寮に入れたのでそこから通っていて2回目の4月の終わりを迎えていた。 「明美~今年の連休はおばあちゃんちに行くんでしょ?」 「うん!」 「おばあちゃん喜ぶわよ~」 父方のおばあちゃんはおじいちゃんに先立たれて独り暮らしをしている。昨年のゴールデンウィークはおばあちゃんが風邪っぽくて『来るな』と言われたので大学で撮った写真を送ったけど今年はおばあちゃんちお泊まりだ。 私がお泊まりの時はおばあちゃんは手料理でもてなしてくれる。 私は元々じじばばっ子でおばあちゃんの作った料理が大好きだ。切り干し大根入りの煮物やお漬物…山菜の天ぷらそれに…。 『のびるの酢味噌和え』 おばあちゃんちの庭に小さな畑があってそこでのびるを育てている。 田舎の道端でものびるは採れるけど何年か前にご近所さんがのびると間違えて毒のある野草を食べて大騒ぎになって、それからおばあちゃんはのびるを庭で育てている。 おじいちゃんはのびるを生のまま酢味噌につけて食べていたけど私はそんな玄人じみた事は出来ないから、さっと茹でて酢味噌和えか胡麻和えが好みだ。 今年はおばあちゃんの料理を教えてもらおう。 私はお泊まりセットの入ったカバンの中に買ったばかりのエプロンを入れてファスナーを閉じた。
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