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「いやね、今日は銀行さんに融資のお話をしに来たんです。僕の会社は僕が代表取締役の小さな発明所でしてね。化学薬品を扱いつつ細々とやって来ていたんですが、このところのやれインボイスだの物価高だので経営が苦しくなりましてね」
「な、なんだ! 紫の煙が噴き出ているぞ!」
僕の目の前の箱からは徐々に徐々に煙が出ている。ザワザワと捕まっている人達も小声で囁き始めた。
「あぁ、特殊なガスを準備して、今充満させているところなんです」
「特殊なガスゥ!?」
慌てて片方の男が近づこうとするのを、もう一人の男が制した。
「やめろ。アイツ、なんかを持ってるぞ。試験管、か?」
「あぁ、懸命な判断です。これを垂らすと化学反応で毒ガスになりまして」
「テロじゃねぇか!」
「だからーー動くな」
僕は数滴の液体を垂らした。
ジュッっという効果音に犯人達はおとなしくなる。
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