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 僕は無表情で待合用の椅子に座り直す。 「話を続けます。その融資の窓口になったのが僕の知り合いでして。なんと高校の同級生だったんです。青春時代の友情によりとんとん拍子に融資がーーという訳にはいかなくてですね。ソイツ、僕をいじめてた奴だったんです」  僕は先程まで対面で話していた銀行員を笑顔で見つめる。銀行員は青褪めた顔で下を向いた。 「彼は僕が金銭的な困難に陥っているのを嘲笑うかのように、何度も申請書類を書き直させ、時間を浪費させる。そして何度も足を運んだ結果、融資はなしになりました。その間にも経営は傾き、僕は菓子パンを買う猶予さえもなくなりました」  “僕はねぇ、自暴自棄になったんですよ” 「今日は奴が勤めていることを誇っている有名銀行の皆様ごと苦しみながら死んでもらおうと思っていたんです」
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