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「締切と伊織くんのご両親への挨拶が重なって吐きそう」
「それは吐きそうだね」
自分だったらと想像したのか翔くんは眉間に皺を寄せて口角を歪める。
社長であり、夫の父親でもある人に交際0日婚しました、だなんて言おうものならどうなるのだろうか。
(絶対怒られるし下手したら別れろって怒鳴られたりしそう⋯)
本来であれば結婚前に挨拶に行くのは重々承知している。
そもそも勝手なイメージだが、社長などを輩出する家系だと私みたいな一般人と結婚することを許してもらえるのだろうか。
既に緊張しているのか少し頭も痛いし、行くのが億劫なためか身体もだるく感じる。
私の心と身体も完全に伊織くんの両親に会うことを恐れていた。
「さて、みんな待ってるし早く戻ろうか」
「うんそうだね」
頼まれた飲み物を準備した私たちは一足先にチョコを食べる尚くんや雛菊ちゃんたちの元へと戻る。
雛菊ちゃんは大量に入った缶を私たちに差し出し好きな味を選ばせてくれた。
「いっぱいあるね」
「チョコは手っ取り早く糖分を摂取できますし、カカオのポリフェノールはストレス軽減にも繋がるので私たちのような職種には必須なんですよ!」
「そうなんだ!雛菊ちゃんを見習って私も常備しようかな」
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