弱る心に染みる言葉

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チラッと伊織くんの表情を伺うと穏やかに眉尻を下げてパスタを頬張っていた。 大きな口で美味しそうに食べる姿を見て私もすごく嬉しい。 「このカルボナーラすごく美味しい。心春が作るご飯は全部美味しいな」 「ほんと?よかった」 「こんなに美味しいご飯をいつも作ってもらえて俺は幸せ者だ」 こんなふうに旦那さんに言ってもらえる奥さんはなんて幸せなんだろう。 サラッとそんな甘い言葉を当たり前のように囁けるなんて悪い男だ。 言われて嫌な女性はいないだろうしむしろきゅんとしてしまうに違いない。 彼は誰にでもこんなふうなのだろうか。 「心春?あまり食事が進んでいないがどうした?」 「え、そうかな?食べてるよ」 小さく微笑みスプーンの上でフォークを使ってパスタを巻いて食べようとする。 しかしその一口は小さく、思うように食が進まない。 そんな姿を見て伊織くんはそっと私に手を伸ばした。 その手は私の首元に触れると彼の体温がひんやりとしていてすごく心地いい。
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