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耳に吐息がかかったのか勢いよくこっちを振り返った心春の顔はほんのり赤くなった気がした。
至近距離で見つめる彼女の顔は整っていて、くりんとした瞳が俺を覗き込んでいる。
心春の顔を見ると自然と表情が緩んでしまう。
彼女に久しぶりに会った時にも言われたが、俺は無口で無愛想とよく言われていた。
自覚もあるがそんなに表情豊かな方ではないし、どちらかと言うと感情表現をすることは得意ではない。
だが、心春の前だと自然と表情が溢れてしまう。
「すぐに仕上げちゃうね」
見つめられるのが恥ずかしくなったのか視線を逸らした心春は再びキッチンに向き直りパスタの仕上げに入った。
心春が仕上げてくれたパスタをダイニングテーブルに運ぶ。
カルボナーラを作ってくれたようだがとても美味しそうだ。
とろっとしたソースとパスタがしっかりと絡みいい香りが鼻腔をくすぐる。
その他にもスープやサラダを準備してくれており、それが食卓に並ぶといよいよ完成のようだ。
彼女と向かい合うように椅子に座り、いただきますをして夕食を食べ始める。
パスタをくるくると巻き口に頬張ると濃厚なソースが広がりとても美味しい。
どんな感想が聞けるか気になったのか、心春の視線をチラチラと感じる。
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