デートのお誘い

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「んん⋯⋯」 ゆっくりと目が覚めると見慣れた天井が視界に広がった。 周りを確認すればどうやらベッドで眠っていたようで、黒い掛け布団に身が包まれている。 (そういえば、昨日熱が出ちゃって早々に眠りについたんだった) 隣にいつもいるはずの伊織くんはおらず一瞬不安になった。 彼の姿が見えないだけでそんなふうに思う自分がいることにも驚く。 身体をそっと起こすと随分楽になっており額に触れると冷えピタが貼られていた。 おそらく伊織くんが貼ってくれたんだろう。 首元や額に手を当てて熱を確認するとすっかり下がっており頭の痛みもなくなっていた。 しかもいつの間にか服も着替えており一瞬思考が止まる。 (あれ⋯私って服自分で着替えたんだっけ?全然覚えない⋯いや、着替えてない、よね?) そうなると服を着替えさせてくれたのは伊織くんになる。 まさかそこまで迷惑をかけてしまっているとはあまりにも不覚すぎて情けない。 リビングに向かう前に少しだけ髪の毛を整えて寝室の部屋を出ると廊下にほんのり出汁の香りが漂ってきた。 そんな香りに釣られてリビングの扉を開けると既に伊織くんは起きていて、キッチンで何やら作業をしている。
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