デートのお誘い

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「冗談だ。熱いからゆっくり食べるんだぞ」 「うん。ありがとう」 おかゆをレンゲですくい上げ伊織くんの言う通り自分でしっかり冷ましてからパクッと口に運んだ。 その一連の動きを向かい側に座った伊織くんに体に穴が開くほど凝視され緊張してしまう。 料理を作る側を経験しているときっと伊織くんは味の感想を待っているんだろうな、と思い伝えようと視線を向けると真っ直ぐな瞳と目が合った。 久しぶりに再会してからというもの、伊織くんはいつも私を真っ直ぐ見つめてくれる。 話を聞くときも絶対に私に視線を向けてくれて、ちゃんと聞こうとしてくれる。 その姿勢が彼の誠実さや人柄を表していてそういった部分に惹かれる人はたくさんいるんだろうなと感じた。 「ものすごく美味しいよ。伊織くんも料理上手なんだね」 「心春のためだからな。でも俺は心春の作ってくれる料理が1番好きだよ」 私自身のことを"好き"と言われたわけじゃないのにドキッと心臓が高鳴った。 まるで私自身に向けれているんじゃないかと錯覚してしまうほど真っ直ぐな言葉に素直に嬉しい。 そのまま伊織くんが作ってくれたおかゆを食べている間、彼は嬉しそうに私をずっと見つめていた。 ただ食べているだけなのにそんなに笑顔でいられると逆に恥ずかしくなる。
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