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1週間後の月曜日、私はノートパソコンを持ってある場所に向かっていた。
倒産前の最後の案件で任されていた仕事の追い込みとして美味しいコーヒーが飲める行きつけのカフェに向かう。
家から歩いて行ける距離にあり、お気に入りの場所のためしょっちゅう足を運んでいた。
比較的カフェスペースは大きく穏やかな時間が流れる場所のためか、勉強をしにきた高校生や論文に追われる大学生などの姿をよく見る。
その中に私も紛れてよく仕事をしていた。
ドリンクを頼み、心地よい音楽を耳に街ゆく人たちの姿をチラッと見ながら過ごす時間がすごく好きだ。
カフェスペースの真ん中には観葉植物がいくつか置かれておりボタニカルでナチュラルな雰囲気を醸し出している。
テーブル席からおひとり様も来やすいようにカウンター席も充実していた。
いつものようにカフェに着いた私はアイスのカフェオレを注文し壁際の席に座る。
この席は空いていれば必ず座るお気に入りの定位置で、端だからなのかすごく落ち着く気がした。
テーブルにパソコンを広げ仕事を始めようと準備をしていると店員さんが席まで飲み物を持ってきてくれる。
それを受け取り、私は長い自分の茶色の髪を後ろで縛りパソコンに向き合った。
ストローが刺さったカフェオレを吸い上げると口の中にほんのり苦味の感じるコーヒーの香りと、それを和らげてくれるミルクのまろやかさが鼻腔をくすぐる。
やっぱりここのコーヒーが一番好きだ。
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