デートのお誘い

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そんなふうに考えてしまうなんて私はなんていやらしい女なのだろう。 伊織くんにとっては契約の一つで、厚意でやってくれたことだというのに。 彼と話すたびに伊織くんの素顔を知れるのはすごく嬉しいが、それと同時に彼の言葉や行動の意味が分からないことも増えてきた。 私に向けた"特別"という言葉の意味も行ってきますのキスも、契約結婚を私"だから"選んだという言葉も。 全部彼の気持ちを表しているというのに、どれも契約という言葉だけでは片付けられないような気がしてならない。 そんな思考を自分の都合のいい方向に考えようとする私自身もおこがましく思えて図々しい。 あくまでも私はお金のため、伊織くんはお見合い避けなどの理由のための契約結婚なのだからそれを改めて心に刻むべきだ。 そう自分に言い聞かせた。 「なあ心春。次予定が合うときに一緒に出かけないか?」 「うん、もちろんいいけど、どこに出かけるの?何かの手続きとかかな?」 「いや、そういうわけじゃなくて。普通にデートのお誘いだ」 「で、デート?!」 (ほらまたそうやって…女の子が喜びそうな言葉をくれて、手のひらで転がされている気がする)
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