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伊織くんがどういう意味で私をデートに誘ってくれているのかは分からない。
だけど今はもうそんなことは気にせず、単純に彼からの誘いを受け入れたいと思う。
(どんな理由だっていいや。伊織くんとお出かけできるのも、単純に嬉しいし)
彼とのデートを嬉しいと思ってしまう自分にも驚いた。
ほんの少しずつ伊織くんへの印象や抱く気持ちが変わってきていることに気づかないふりをする。
「心春にプレゼントしたいものがたくさんある」
「え、私に?」
「俺がプレゼントしたもので心春を全部染め上げたいんだ」
(何それ……まるで本当に愛しいと想ってる夫から妻への愛の告白のような言葉を私にくれるなんて、伊織くんの考えてることが分かんないよ)
「それで俺だけの可愛い心春を見せてくれ」
そう言いながら優しく微笑む伊織くんの笑顔はあまりにも整っていて綺麗な二重の切れ長の瞳がとても柔らかく歪められている。
くすぐったくなるほどの甘い囁きは私の心をどんどん染め上げていき、きゅんと胸を高鳴らせるには十分すぎるものだった。
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