曖昧なキス

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私よりも身長は高く短い黒髪はしっかり整えられており、爽やかな印象を感じる。 くしゃっと笑うその笑顔はどことなく私に似ていた。 「姉ちゃん何このマンション!こんなとこに住んでるの?」 「うん⋯まあね」 目をキラキラさせながらマンション内をきょろきょろ見回す冬麻は単純な好奇心からのものなんだろう。 だけど全て偽りのもので、全部伊織くんのおかげだということを隠し続けなければならない。 エントランスを抜けて冬麻と一緒に私たちの住む部屋まで向かう。 その間ずっと冬麻はワクワクしながらテンション高く話していた。 「ドキドキしてきた⋯姉ちゃんの旦那さんに会うの初めてだし」 「大丈夫だよ。すごくいい人だから」 ガチャっと扉を開けるとリビングの扉を開けて伊織くんが私たちを迎えに来てくれた。 彼の素顔を見た途端、冬麻が私の耳元で"めちゃイケメンだね"と囁く。 「いらっしゃい、心春から聞いてるよ。はじめまして、東雲伊織です」 「は、はじめまして!加賀美冬麻です。よろしくお願いします!」
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