運命の再会?

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見すぎていたことを怒られるのかと思い身体を縮こませ背筋を伸ばし下を向いていると、思いのほか優しく心地よい低音ボイスが聞こえてきた。 あの無愛想な印象から想像できないほど優しげな声で思わず見上げると、私を見つめるその瞳があまりにも甘くて胸がキュンと高鳴る。 「あの……」 「───加賀美?」 「えっ?!」 突然会ったこともないイケメンに名前を呼ばれ私は狼狽えることしかできない。 こんな整った顔立ちの男性に会っていたら絶対覚えているはずだし、どうして彼は私を知っているのだろうか。 不思議に思いきょとんと彼を見つめていると勘違いしてしまうほど砂糖のように甘い視線を向けられ身体の熱が上がったのが分かった。 どうして彼はこんな愛おしい彼女を見るかのような視線を私に向けてくるのだろう。 「俺のこと、分かる?」 「えーと…ごめんなさい、お会いしたことありましたっけ?」 「東雲伊織(しののめいおり)。覚えてない?」
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