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今伊織くんがどんな表情をしてくれているのかすごく気になる。
だけどそれ以上にこの偽りの夫婦の関係で交わされたキスにどんな意味があるのか、その答えが気になった。
「そんな声出されると⋯歯止めが効かなくなる」
少し焦ったような声音にも聞こえた伊織くんの思いを聞きながら、身体に伝わる彼の心音を感じていた。
キスくらい慣れているかと思っていたが意外とそうでもないのかもしれない。
そう思えるほど伊織くんの心臓の鼓動は早く、もしかしたら彼もドキドキしていたのだろうか。
私たちはお互いそれ以上詮索することなく身体を寄せ合いながらゆっくりと眠りについた。
何も言葉を交わさなかったが、なんとなく私たちは今、同じことを考えているのではないかと思う。
このままお互いの体温を感じながら朝まで眠っていたいと⋯⋯⋯。
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