6762人が本棚に入れています
本棚に追加
/181ページ
一晩中伊織くんは私を抱きしめてくれていたようで、そのおかげかすごく寝つきが良かった気がする。
とてつもない大きな安心感に包み込まれているようだった。
私を抱きしめる腕を少しだけ緩めた伊織くんは朝から眩しすぎるくらいの笑顔を見せてくれる。
そんな彼の笑顔を見ると自然と口元に目がいってしまい、自分の下心が見え見えで恥ずかしい。
「おはよう心春」
「ふふ2回目だね」
「こんな可愛い奥さんの顔見れて幸せな朝だな」
こんな朝っぱらから糖分高めなセリフを誰が聞けると思うだろうか。
綺麗な二重の切れ長の目に、端正な顔立ちも相まってセリフの効果が2倍に増幅している。
伊織くんは弄ぶように私の髪の毛に指を絡めながら指先が頬に触れた。
私だけがドキドキさせられている気がして仕返ししてやろうという意地悪な気持ちが私の中に芽ばえる。
そっと手を伸ばし伊織くんの頬に触れた。
たったそれだけなのにビクッと身体を震わせた伊織くんは目を見開いて私のニヤッと微笑む顔を見つめる。
「朝からこんなかっこいい夫の顔見られて、私も幸せだな」
「心春⋯」
最初のコメントを投稿しよう!