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私たちの結婚は愛のない契約で本当に愛し合ったものじゃないというのに、冬麻にこんなふうに頭を下げさせてしまうことに罪悪感も感じた。
だけどそれ以上に冬麻にとって私たちがそういうふうに見えたことは純粋に嬉しい。
「冬麻くん、安心して任せてほしい。俺がお姉ちゃんのことを世界で1番幸せにするから」
「⋯めちゃくちゃ頼もしいですね」
ニカッと私の大好きな笑顔を見せてくれた冬麻からはピリッとした空気が消えた。
安心したのか肩を撫で下ろし伊織くんが入れてくれたコーヒーをグビっと飲み干す。
私の弟が冬麻で本当に良かった。
たった2人の家族だけど、やっぱり冬麻のために契約結婚をして良かったと思える。
こんなふうに私のために行動ができる優しい弟だからこそ、何を犠牲にしても守っていきたい。
私のこの選択が間違いじゃなかったと思わせてくれた。
「じゃあ、俺帰ります。泊まらせてもらってありがとうございました」
「マンションの前にタクシーを呼んである。それに乗ってくれ」
「助かりますありがとうございます」
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