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「心春。緊張解してやろうか?」
「え?」
私の腰をぎゅっと抱き寄せ片方の手で顎をクイッと上に向かせると、不敵に微笑んだ伊織くんの顔が近づき柔らかい感触が唇に触れた。
伊織くんにキスされていると理解した途端、耳まで一気に熱が伝わり茹でダコのように真っ赤に染まる。
ニヤッと微笑む伊織くんは私から離れるとそのまま部屋を出てご両親を迎えに行った。
1人部屋に残された私は火照った顔の熱を冷まそうと、手で顔を煽るが全く効果がない。
(緊張の解し方がキスなんてそれ以外にも絶対あったでしょ⋯!)
部屋の中でうろうろしているとガチャっと扉が開く。
そこから現れたのは胸ほどの長さの黒いストレートヘアをかき分けた女性と会社のホームページでも見た事のある、短めの黒髪をしっかり整えオールバックのようにかき上げた男性だった。
2人とも端正な顔立ちがすごく目立ち、いわゆる美男美女のご夫婦だ。
この両親から伊織くんが産まれてくるのにも納得してしまう。
「心春、紹介する。もう知ってるかと思うが父の東雲侑李と母の桜だ」
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