14656人が本棚に入れています
本棚に追加
「ほら伊織。コーヒー入れてちょうだい!私たちは心春ちゃんとお話してるから」
「⋯⋯分かったけど、心春を困らせないでよ」
「大丈夫よ安心してちょうだい!」
私から離れる直前、少しだけ心配そうに顔を歪める伊織くんと目が合うものの、大丈夫だよと笑い返す。
キッチンへと向かう伊織くんの背中を見つめながら残された私たち3人はダイニングテーブルに腰をかけた。
私の向かい側に伊織くんのご両親が座る。
目の前で座るお母さんはとっても嬉しそうににこやかに微笑んでくれていて、お父さんはまた尊厳がなくならないか少しだけ不安そうだった。
「あの⋯私は⋯⋯」
「私たちのことお義母さんって呼んでくれていいのよ!あ、それか桜さんとか侑李さんでもいいわよ〜」
「あ、ありがとうございます」
伊織くんの両親は自分たちに何も相談せずに結婚した私をなんとも思ってないのだろうか。
特に東雲ホールディングスという大企業の一人息子である伊織くんの結婚相手だというのに、会った瞬間に怒られても仕方ないと思っていた。
それなのに初めて会った瞬間から受け入れてくれている気がする。
温かい家族という感じがこんな短時間なのに伝わってきた。
最初のコメントを投稿しよう!