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伊織くんの中で少しでも私の存在が大きくなっていたら嬉しい、なんて思うほどには私は彼に惹かれていた。
そう⋯⋯契約結婚という関係を受け入れておきながら、私は彼に気持ちが傾いてしまっている。
「はーいお待たせ。プリンよ」
「心春、バームクーヘンも準備したけどよかったか?」
「うん、してほしかったから助かったよ。ありがとう」
「みんなで食べましょ!」
4人でダイニングテーブルを囲み伊織くんの両親が持ってきてくれたプリンやバームクーヘンをゆっくりと食べる。
その間、伊織くんの小さい頃の話や私の弟のことなどたくさんのことを話した。
終始賑やかでこの時間がずっと続いて欲しいなんて願うほど私はこの空間を楽しんでいた。
本当の家族の一員になったような錯覚さえ感じるほどだ。
数時間が経過した頃、丁度お昼を少し過ぎたタイミングで伊織くんの両親が帰り支度を始める。
2人を見送るため玄関まで伊織くんと向かった。
「今日は突然来ちゃってごめんね心春ちゃん。すごく楽しかった。たくさん話してくれてありがとう」
「私もすごく楽しかったです」
「よかった〜今度は伊織とうちに来てちょうだいね。ゆっくりご飯でも食べましょう」
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