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「素敵な家族だね」
「ありがとう。そう言ってもらえてよかった」
「優しい人たちでよかった」
「俺も心春とそういう家族になりたいと思ってる」
「っ!」
どんな表情でそんな言葉を言ってくれているのか分からず、その言葉の意味を素直に受け止められない自分がいた。
伊織くんの囁く甘い言葉を噛み締めるようにギュッと目を閉じる。
そして確信した。
私は彼に惹かれているのではなく、本当に好きになってしまったということに。
契約結婚のはずなのに大切に思ってくれる言葉や行動、愛を囁くようなキスや彼の存在に私は心を奪われた。
そう気づいてしまった今、私はこの生活をいつまで続けられるだろうか。
なるべく長く、伊織くんと一緒にいたい。
例えそれが、契約結婚の妻だったとしても───。
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