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「なんでもないよ」
「そうか」
そのまま伊織くんは黙って車を走らせる。
移りゆく景色を眺めながら頭の中で伊織くんのことを考えた。
「なんでそんなかっこいいのかな⋯」
「⋯それ俺のこと?」
「あっ、私声出てた?」
「出てたよ」
自分でも気づかないうちに考えていたことを声に出してしまっていたようで、聞かれていたことがすごく恥ずかしい。
伊織くんのことをそう思っていることがバレてしまった。
恥ずかしくて伊織くんの顔が見れず、ふと窓に向かって視線を逸らす。
そんな私の背後からは伊織くんがふっと声を出して笑う音が聞こえてきた。
「俺のことかっこいいって思ってくれてるんだな」
「心の中の声だったのに⋯漏れてるなんて」
「どんなとこがそう思ってくれてるんだ?」
「言わないよ?」
「聞かせてくれないのか?」
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