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こんなに恵まれた容姿や体格を持ったモテモテな彼なのに全くそれに驕ることないその姿が逆にかっこいい。
伊織くんの隣に並ぶ私もまたその視線を浴びることにはなるのだが、それも優越感に繋がった。
「俺は心春しか見てないよ」
「そういうのサラッと言っちゃう所が恐ろしい」
伊織くんから紡がれる言葉はどれも甘くそれが心に響きむず痒くなる。
心臓の音がドキドキと彼に伝わらないか心配になるくらいには、その言葉で私の体温が上昇した。
「心春。手、繋いでもいいか?」
「⋯してもいい?っていちいち聞いてくるんだね」
「嫌われたくないからな」
「嫌だって言ったらしないの?」
「⋯⋯分からん」
(そこは分からないんだ⋯しないって選択肢がない、のは嬉しいことなのかもしれない)
「嫌じゃないよ。繋ご」
伊織くんに向かって手を差し出すと少し骨張りゴツゴツとした大きなが私の手をぎゅっと包み込む。
指を絡めとられ、いわゆる恋人繋ぎという繋ぎ方に自然となった。
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