初めてのデート

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他の人から見れば結婚指輪を輝かせ恋人繋ぎをして歩く私たちは間違いなく誰が見ても夫婦だ。 伊織くんのような人の妻の座を射止めた私をきっと羨ましいと思う人も少なくないだろう。 契約結婚だと分かってはいても、それが特別で嬉しくてこの一時かもしれない幸せな時間が永遠に続けばいいのに、なんて思った。 「心春は欲しいものとかないのか?」 「んー⋯そうだなぁあんまりないかな」 「クローゼットにあまり服が入ってなかったが」 「見られて恥ずかしい⋯その、最低限必要なものがあればいいかなって思ってて」 本当の理由は違う。 幼い頃から裕福ではなかった私たちの家庭だからこそ、節約や無駄遣いしないことが身体に染み付いてしまっているだけだ。 冬麻の学費のこともあるし、自分の好きなことにたくさん使う、という感覚があまりない。 それを私はあまり人には知られたくなかった。 可哀想だと思われたくないからだ。 私は好きでやっているし、それが大切な弟のために繋がっていると自覚しているため哀れみを持たれたくない。 「俺としては好都合だ」 「どうして?」 「俺好みの服をたくさん心春にプレゼントできるからな。今までもたくさん持っていたら俺がプレゼントした分が多すぎてクローゼットに入りきらなくなるだろ?」
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