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私の気持ちを知っているわけなんてないのに、どうしてこんなふうに言われて嬉しい言葉をくれるんだろうか。
なんの先入観や決めつけもない純粋な伊織くんの考えが私の心にゆっくりと染み渡る。
「入り切らなくなるって、どんだけプレゼントしてくれるつもりなの」
「俺が満足するまでだ」
握った手がぎゅっと伊織くんに引き寄せられ私の身体が自然と密着した。
そのまま寄り添うように2人で施設内を歩くとあるハイブランドの前で立ち止まる。
伊織くんと一緒じゃなかったら絶対こんな場所で立ち止まらないと思うほど高級なブランドだった。
テレビの中の女優さんなどが身に纏うようなワンピースやドレスなどがたくさん飾られている。
「ここ、見よう」
「えっ、本気?」
「心春に似合いそうなのがたくさんある」
躊躇なくショップの中に足を踏み入れる伊織くんの後をついていくことしかできず、場違い感も否めないため自然と身体が縮こまる。
いつもこんな場所で伊織くんは買い物をしているのだろうか。
中に入ると普段は絶対見ないような華やかなワンピースやスカートなどがたくさん展示されており見るだけで心が満たされる。
ウィンドウショッピングってこうやって楽しむんだな、なんて考えながら伊織くんの後を追った。
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