運命の再会?

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何かを考えるように東雲くんは私から視線を外し、一点を見つめてしばらく黙り込む。 思考を張り巡らせているのを邪魔しないように静かにストローを口に含みカフェオレを吸い込んだ。 「仕事がないなら、うちに来るか?」 「え、どういうこと?」 「ちょうどゲームチームのメンバーが1人辞めることになって席が空いてるんだ」 「いや待って、私が東雲ホールディングスに?私じゃ技術力がついていけないよ」 「うちは全員がプログラミング経験者じゃない。未経験からスタートしてる人間も多い」 何を言い出すかと思えばあまりにも突拍子もないことすぎて全然未来の想像ができない。 私が大手の東雲ホールディングスに就職したとて、とても仕事についていけるとは思えなかった。 もちろんとてつとなく魅力的な誘いではある。 大企業だからこそ収入も確実に今より多くなるだろうし、安定もするはずだ。 弟の学費を稼ぎたい私からすればこれ以上の話はないだろう。 それでも仕事をこなせなければ意味はないし、私にそれができるとは思えなかった。
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