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それに私にはお金が必要だ。
生活ももちろんだが、冬麻の通う大学の学費を稼ぐ必要がある。
東雲ホールディングスに行けば確実に安泰だろう。
実力的には見合っていないかもしれないが、これからそれはいくらでも挽回することができる。
だけど東雲くんに出会えて、こんなチャンスを与えてくれるのは今だけかもしれない。
それであれば私の選択肢にNoという言葉はなかった。
この与えられたチャンスを全力で掴みにいき、自分の手で成長に繋げる。
「東雲くん。ぜひ働かせてください」
「よかった。なら早速4月からだな」
「本当にいいのかな⋯こんな形での入社で」
「⋯加賀美ならそう言うと思った。入社までは常に助けてやれるけど、その後はずっと加賀美のそばにいてやれないから、加賀美の頑張り次第かもしれない」
「⋯誘ってくれただけでも本当に感謝しかないから、その後は全力で頑張る。周りについていけるように、力になれるように頑張るね」
不安がないといえば嘘になる。
ゲームのプログラミングは専門ではないため通用するか不安なことが大きい。
だけどまだ入社まで時間があるし、準備を整えて当日を迎えたい。
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