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心底心配そうに眉を八の字にさせ私を見つめる寧々ちゃん。
そんな顔を見て大丈夫だよ、と言わんばかりに小さく微笑んだ。
「その⋯⋯冬麻くんのこともあるんでしょ?」
「うん。でも当てはあるんだ」
「どんな当て?」
寧々ちゃんは私が働く理由に冬麻の学費のことがあるということは知っている。
そのため倒産するとなると私に職がなくなり、冬麻の学費すら払えなくなってしまうことを心配してくれたんだろう。
そこまで不安にさせないためにも網の上にお肉を乗せて雰囲気を変えようとした。
ホルモンが乗ると一気に火が上がり、空間が少し暑くなった気がする。
「高校に東雲伊織くんっていたの覚えてる?」
「あーいたね。イケメンなのに超無愛想だから覚えてる」
「そうそう。その彼に最近行きつけのカフェで会ったんだ。寧々ちゃんって彼が東雲ホールディングスの息子だって知ってた?」
「もちろん。高校の時から知ってたわよ」
「さすが寧々ちゃん。私知らなくて最近会った時繋がったんだよね」
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