記憶の中の東雲くん

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お肉をひっくり返しながら言葉を続けた。 喉を潤すように少しだけ生ビールを喉に流し込む。 「その東雲くんが、私の会社が倒産することを知ったら東雲ホールディングスにスカウトしてくれて。不安なんだけど働く場所ないと困るし、安泰だろうし入社することにしたんだ」 「えぇ!すごいじゃん心春。業種違う私でも知ってるくらい大手企業に就職なんて。絶対それは入社すべきよ」 「うん。これで冬麻の学費の心配もなくなるからよかったとは思ってる」 注文していた最後のお肉を網に乗せて焼き切ると、寧々ちゃんは追加でタンを注文し更には焼酎を頼んでいた。 (さすが寧々ちゃん、頼むものが渋すぎる。) 私も生ビールを飲みきったため、一緒にハイボールを頼んでもらった。 そろそろ私はお酒はラストにしようかと思う。 「ところで高校時代の東雲くんのこと覚えてる?私あんまり覚えてなくて」 「まぁ心春は男の子にあんまり関心なかったもんね。顔可愛いからモテてたのに無自覚だったし。だから今までの彼氏とも続かないのよ」 「うっ⋯⋯それは耳が痛いです」 私自身、今まで何人かの彼氏もいたし男性経験も何度かはある。 だけどどの人も1年ほどしか続かなかった。
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