記憶の中の東雲くん

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そんな理由は分かっている。 今まで付き合った人は全員相手からの告白で、最初は相手からの好きという感情に応えるため私も好きだと伝えていた。 だけど慣れてくる3ヶ月くらいのタイミングで相手が好意を言葉にすることが少なくなると、私も伝える機会が減ってしまうため、私からの好きが伝わらない、という理由で別れを告げられてしまう。 決して嫌いになったわけではないが好意に応える、という始まりがほとんどのため私の熱が彼と同じにまで上がる前に別れが来てしまう。 実際本気で人を好きになったことがあるか、と聞かれると自信はない。 もしかしたら私は付き合ってもなおずっと好意を伝え続けてくれる人じゃないと長く続かないのかもしれなかった。 だけど私自身もそれは悩みで、自分から好きだと伝えたくなるような相手に出会いたいとも思っている。 「寧々ちゃんの東雲くんのイメージってどんな人?」 「んーまぁイケメンだよね。高校の時から顔整ってたし女子からの人気はめちゃくちゃあった。けど当の本人は関心ないのか、全然なびかないし告白されても全部断ってたらしいよ」 「え、そうなんだ」 「あんだけかっこよくてイケメンなのにもったいないよね。けど男子相手には結構素直なところはあったって」 確かに再会した彼も女性の視線を集めていたし、大人の色気も相まってますます素敵な男性になっている気はする。
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