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記憶の中の東雲くんはイケメンだが女子にはなびかない、というのが私や寧々ちゃんのイメージだった。
追加できたタンをさらに焼き、ハイボールをゴクッと喉に流し込む。
「真偽は分からないけど、めちゃくちゃ好きな人がいてずっと一途に想ってるんじゃないかって噂はあったけど、それも知らない?」
「知らない。東雲くんが一途に想う人がいるとしたらどんな人なんだろう」
「あくまで噂だからね。本当かは知らないけど」
タンと白米を食べ終えた私たちは最後に柚子シャーベットを注文する。
口の中がとてもさっぱりし油っぽさが流れていくようだ。
「高校の同級生に再会だなんて少女マンガみたいな展開ね」
「そんな寧々ちゃんが想像するようなことにはならないよ」
「残念。でも本当によかったね心春。倒産の話聞いた時はビックリしたけど、東雲くんに救われたね完全に」
確かに倒産の事実を知った時は完全に先行き真っ暗になり不安しかなかったが、こんなタイミングで東雲くんに出会えるなんてある意味運命かもしれない。
人生何が起こるか分からないんだな、というのを非常に感じる。
でも彼に出会わなければ私は今こんな悠長に寧々ちゃんと焼肉なんて食べられていなかったかもしれない。
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