新生活

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東雲くんは私に視線を落とすと小さく微笑みかける。 彼の瞳には私しか映っていないようで、真っ直ぐ見つめられドキドキとしてしまう。 「俺も行かないとだから。頑張れよ加賀美」 「⋯っ!」 そう言った次の瞬間、私の頭にポンっと温かい温度を感じた。 一瞬何をされたのか理解できなかったが、私は東雲くんに優しく頭を撫でられたようで思わず硬直してしまう。 私が固まっているのが面白かったのか東雲くんはふっ、と小さく声を出して微笑んでくれた。 こんな風に頭を撫でてくれるなんて思ってもいなくてドキドキし、心臓がバクバクと高鳴るのが分かる。 そのまま東雲くんはじゃあな、と言って部屋を出ていった。 隣に立つ牧さんは深々と頭を下げて彼を見送る。 「さて、加賀美さんが所属するチームのメンバーを紹介するね」 「はい、よろしくお願いします」 牧さんについていくと作業をするスペースになっているパソコンが大量に置かれたゾーンにやって来た。 みんなデスクに向き合いパソコンとひたすら睨めっこしている。
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