プロポーズ

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大学3年の夏に入ってより実習活動が増えるらしくその実習費をまとめて支払う必要がある。 貯金がないわけではないが、一気に用意するには若干の不安が残る。 そうは言いつつも他にお金を準備する方法はなく、途方に暮れているのが正直なところだ。 それを誰にも悟られないように笑顔の裏に隠し、私はパソコンに向き合った。 プログラミング作業はすごく地道で少しずつ構築し、バグの修正を繰り返している。 だけど私たちの作業がいずれやっているようなゲームたちになると思うとすごく楽しみだ。 「ねえ心春ちゃんってさ、あれから伊織に会ってるの?」 私の隣でパソコンに向かい合いながら問いかける翔くん。 私の背後では尚くんが、そしてその隣では雛菊ちゃんがボソボソ何か呟きながらキーボードをたたいていた。 「会ってないよ。メッセージのやり取りはしてる」 「そっか」 それ以上、翔くんは何も言ってこなかった。 その日も私はみんなで定時までしっかりと作業をこなし、少しだけ残業をしたあと仕事を終え帰路に着く。
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