プロポーズ

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「ちゃんと払ってもらえるんですよね?」 「もちろん。前払いしますよ」 「楽しみましょう、3人でね」 私を囲うように歩き出す男性2人。 この2人と私は今からセックスするんだ。 お金のために、初めて会ったこの人たちと身体を重ねようとしている。 こんな風に集めたお金だろうと、私は冬麻が幸せならどんなことだってできる。 だけど方法だけは冬麻に知られてはいけない。 知ればきっと彼はショックを受け、そんなお金なら必要ないと言うだろう。 私の腰に腕を回しスマートにエスコートするその流れに慣れを感じた。 今までも同じような手でワンナイトしてきたんだろうなと思う。 「───加賀美?」 突然名前を呼ばれたと思い振り返るとそこにいたのは思いもよらない人物だった。 無愛想な表情は珍しく歪められており、短い髪の隙間から覗いた瞳の奥には小さな怒りが伺える。 どうしてここに彼がいるのか。 こんなところを見られるなんて大失態だ。
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