プロポーズ

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「何もされてないか?」 「うん⋯大丈夫」 「よかった⋯他のやつになんて、触れさせてたまるか」 そう呟く東雲くんの表情は見えず、どんな顔でそんなことを言ってくれているのか知りたいとも思う。 だけど今はこの大きくて安心感のある腕の中に少しでも長く包まれていたいと願ってしまった。 私は東雲くんに連れられタクシーに乗り込んだ。 どこに行くのかは教えてもらえず、とりあえず何も言わずに彼に従う。 数分後、私たちを乗せたタクシーはある高層マンションの前で止まった。 そのまま東雲くんに促されるままエントランスを抜け、エレベーターでどんどん上に上がっていく。 21階で止まったエレベーターから出ると広く長い廊下を少し歩き、2102と書かれた扉の前で立ち止まりカードキーで玄関を開けた。 中に入ると畳6畳ほどの大きさの玄関が広がり圧倒される。 玄関だけでこの大きさって、ある意味子供部屋くらいの大きさがあるではないか。 (どれだけ大きい部屋住んでるの⋯) 玄関を抜けると真っ直ぐな廊下が広がり6つの扉が見える。 最も突き当たりにある扉まで進みそこを開けると巨大なリビングルームが広がった。
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