プロポーズ

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リビングダイニングはざっと見ても40畳以上の大きさはありそうでとてつもない広さだ。 黒革のL字の大きなソファが鎮座しており、統一感のある色味の4人が座れる程のサイズのダイニングテーブルが置かれている。 更には大きなテレビラックの上に液晶テレビが置かれており、空気清浄機や大型のランプも置かれていた。 キッチンにも炊飯器やコーヒーメーカー、ポット、電子レンジなど全ての家電が完備されており1人で過ごすには大きすぎる部屋だと感じる。 黒とグレー、そして白を基調とした部屋はとてもシックで東雲くんらしさを感じる。 他人がいるという気配はほぼなく、ここで彼は1人で暮らしているんだろうと思うと、急に緊張してきた。 私はそのままL字ソファに案内され座らされると、東雲くんは少し待ってて、と言ってキッチンへと向かう。 そこでコーヒーを入れてくれているようでリビングにコーヒーの香りが漂った。 そのままカップを渡され受け取ると、気持ちが解けていくように身体の力が抜けていく。 随分身体を長時間強ばらせていたようだ。 東雲くんはスーツのジャケットを脱ぎ、ベストとパンツ姿で少し離れた位置に静かに座り言葉を選ぶように話しだした。 「なんであんなことしようとしたんだ?」 「⋯⋯」 「加賀美が理由もなくあんなことするわけないだろ?」 「⋯⋯」
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