契約結婚

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高校時代からの友人である翔くんは東雲くんがそんなことを言っているなんて知ってるんだろうか。 いや、きっと知るはずもないだろう。 誰も知らない私と東雲くんだけの秘密の契約、それが今宵結ばれようとしている。 私は私利私欲のために、彼の提案を利用することにした。 「そういえばさ心春ちゃん。あいつ、伊織のやつ、なんか最近機嫌よくて、なんか知ってる?」 「いや、全然知らない。翔くんの方が詳しいでしょ?」 「まぁ確かに高校からの長い付き合いだけど、なんかあいつ1週間くらい前から上機嫌なんだよな」 「そうなんだ」 1週間前といえば、私が東雲くんに結婚しようと言われたくらいのタイミングだ。 何かそれと同じ時期にいいことでもあったのだろうか。 「ほら、伊織ってあんま笑ったりしないしモテるのに全然女に興味ないだろ?だから俺、彼女とかでも遂にできたのかなって思ったんだけど」 「そ、そうなんだ」 (翔くん、あなたの友達は彼女どころかいきなり妻を(めと)ろうとしています) なんならそれと上機嫌なことはおそらく全く無関係だ。
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