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「考えてくれたか?俺の提案」
「うん。でも1つ、聞いてもいい?」
「なんだ?」
いくら東雲くんが女避けやお見合い避けに結婚したいとはいえ、相手は誰でもよかったのだろうか。
彼くらいの人なら嫌ってほど女性は近寄ってくるだろうし。
それに結婚となると、いくら契約結婚でも彼の両親などにも会うことになるはずだ。
私でいいと思ってもらえるだろうか。
「どうして私に契約結婚を提案してくれたの?私がお金に困ってることは都合がよかっただろうけど、誰でもよかった?」
「⋯⋯誰でもいいわけじゃない」
「なら私を選んだ理由は?」
「加賀美だから選んだ。それだけだよ」
(私だから選んだなんて、選ばれるような理由に思い当たらないし、はぐらかされてるだけな気もする⋯)
「いずれちゃんと教えてやるから、そんな顔するな」
少しだけムスッと口を尖らせる私を見た東雲くんは小さく口角を上げて頬に優しく触れた。
あまりにも自然な動きで呆気に取られる。
こういう行動がサラッとできちゃうところがおそろしい男だ。
無意識のうちにいろんな女性に好意を抱かれていてもおかしくない。
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