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8月頭、私は東雲くんの家に引っ越してきた。
1Kの部屋にある家具は全て処分してきたため、私はほぼ身一つでの引っ越しになる。
衣服類を持ってきたくらいでほとんどこの家に持ってくるものはなかった。
東雲くんが必要なものが今後あれば全て購入しよう、と言ってはくれたがさすがに気が引ける。
彼がお金持ちとはいえ全て甘える訳にはいかない。
そして彼は仕事が忙しく、あれから婚姻届を出しに行けておらず今日やっと出せる予定だ。
「待たせてごめん」
「ううん大丈夫」
私服姿の東雲くんを見るのは初めてでとても新鮮だ。
ラフな白シャツに黒いズボン姿の東雲くんはシンプルが故にスタイルが際立っていた。
私自身も同じような白いシャツにデニムのスキニーパンツを履いた。
話し合ったわけではないが同じような色味の服を着てしまって少し恥ずかしい。
「行こうか」
「うん」
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